「これならわたしにもできる」完璧を手放した先の仕事と育児の両立のかたち

「これならわたしにもできる」完璧を手放した先の仕事と育児の両立のかたち

私は現在、2人の子どもを育てながら介護福祉士として働いています。
これまでに2度の出産と仕事復帰を経験し、「ワーママ」として仕事と育児の両立に向き合い続けてきました。

1人目の育児休業後、仕事復帰したわたしは常に焦っていました。時短勤務とはいえ、正社員として出産前と同じ業務をこなしていこう。意気揚々と、仕事も育児も全力で取り組もうと心に決めていました。

どちらも大切だからこそ、自分の持てる力を最大限に発揮してやっていきたい。そう思っていたからです。いつしかその思いが自分を追い詰め、自分自身を置き去りにしていくとも知らずに。数年前、いわゆる「ワーママ」として歩み始めたあの日々を思い出すと、今も心がぎゅっと苦しくなります。

あの時のわたしを迎えに行って、抱きしめてあげたい。「頑張らなくていい、そのままでいい」と、そっとささやいてあげたいのです。

意気込みの裏で訪れた怒涛の日々

1人目の出産前から介護福祉士として働いてきました。1人目の育休後、出産前と同じ条件で仕事復帰できると知った時は、嬉しくてほっとしました。介護の仕事が好きで、利用者さんの笑顔を見るたびにやりがいを感じていたからです。

そんな中、子どもの保育園の慣らし期間を終え、平日5連勤の日々が始まりました。

泣きじゃくる我が子を抱え、髪を振り乱して保育園へ急ぐ朝。業務の流れを覚え、人間関係に心を砕く介護業務。子どものお迎えに遅れぬよう、仕事を切り上げて走って打刻する夕方。そして夕飯の支度、お風呂、寝かしつけという怒涛の夜。

数分刻みの「やるべきこと」をこなす日々は、最初は充実感に満ちていました。

朝から夜まで予定が詰まり、それを一つずつ達成していくことに対して、「仕事も育児もやれている」と、自己満足していました。「思い描いていたワーママの理想像」に近付いている自分が誇らしかったのです。

体調不良が教えてくれた現実

しかし、そんな日々は長く続きませんでした。働く施設のスタッフ不足で業務量が増え、残業も増えた頃、わたしは突然体調を崩しました。医師からは「しっかり休養を取ってください」と告げられました。

「自分の体調管理もできないなんてダメな母親だ」
「職場に迷惑をかける…どうしよう」
「夫の方が忙しく働いているのに、申し訳ない」

と、罪悪感でいっぱいになりました。早く治して、仕事で倍働いて挽回しなければ。頭の中は焦りでいっぱいでした。休んでいる間も、やり残した仕事のこと、我が子の顔が浮かんで、夜も眠れませんでした。

妊娠中に芽生えた静かな疑問

そんな忙しい日々の最中、2人目を授かりました。妊娠中特有の体調不良で仕事を休みがちになっていたある日。職場の仕事仲間からかけられた言葉が、心に深く残りました。

「仕事も大事だけど、自分の身体が一番大事だよ。無理しないでね」

その一言で、ハッとしました。妊娠中もできるだけ働きたい一心で、体に負担の少ない業務を積極的にこなしていました。介護の仕事が好きだったからです。利用者さんの日常を支える喜びは、いつでも何物にも代えがたいものでした。

でも、本当にこの働き方で、心と身体は健やかなのだろうか。

ふと、そんな疑問が胸に広がりました。わたしが本当に望んでいる働き方は何だろうか。わたしの本心は、どこにあるのだろう。わたしは仕事と「育児の両立」というテーマのなかで静かに立ち止まりました。

完璧像を捨てて見つけた本心

1人目の仕事復帰後、思い描いた「完璧なワーママ像」を追い求めた末に体を壊しました。2人目の妊娠中も、無茶をしながら仕事を続けていました。どちらも、自分が作り上げた「隙のないワーママ像」に縛られていたための結果でした。世間体、周囲の目、「普通はこうだ」という思い込みにがんじがらめになっていたのです。2人目の産休を機に、「仕事と育児の両立」について真剣に考え始めました。

自分の本心を探る日々。

介護では利用者さんや同僚の気持ちを汲み取り、育児では小さな我が子の感情に寄り添うことに一生懸命でした。でも、「本当は自分はどう思っているの?」というシンプルな問いに、すぐに答えることができませんでした。何度も自分に問いかけ、パートナーと何時間も話し合った末に、徐々に世間体や一般論から自分を解き放てるようになりました。焦りや不安の根源は、「自分が何をしたいのか」という問いかけからきていると気づきました。

ようやく、「自分の声」が聞こえ始めたのです。

緩やかな働き方を選んで芽生えた力

2人目の産後、1人目より緩やかな条件で働き始めました。勤務時間を短縮し、仕事終わりの時間に少しの余裕を持たせたかったからです。育児と仕事、どちらも全力でやるのは、わたしには出来ないと身をもって知りました。

砂だらけの靴が散らばる玄関。元気いっぱいお腹を空かせて帰宅する我が子たち。帰宅後のわたしの体力は限りなくゼロ。
そんな中で「ワーママの理想像」を追いかけるのは、もうやめました。家族の今の在り方、子どもの成長段階、夫のキャリア、そして何より自分の願いをすべてひっくるめて、どう生きていきたいか。

考えて行動していく道のりが、わたしにとっての本当の「両立」です。

介護士としてのキャリアを考えると、取りたい資格、やってみたい業務もあります。同期や同年代の仲間がどんどん出世していくのを間近で見ていると、焦りも湧きます。けれど、わたしのやりたいことは絶対に今じゃなければ叶わないものではありません。介護の仕事は好き。これからも続けていきたい。この気持ちだけは、揺るぎませんでした。

だから今は育児と仕事の両立を優先し、どちらも今の自分が出来る範囲でやっていこうと決めました。

「今の生き方なら、きっとわたしは進める」
「そしていつか未来を変えられる」

そんな力が、心に満ちてきました。変化のために行動したときの羨望や焦りが、いつか未来の原動力にもなると信じて。

今感じる喜びと、これからへの一歩

現在も介護福祉士として働いています。

子どもの就学を経験し、学校での様子が見えず不安になることが増えました。「子どもに寄り添っていたい」という気持ちが生まれ、通勤中心の介護士の仕事とは別に、在宅での働き方を選択肢として考えるようになりました。

働き方を変えていくことは簡単ではありません。周囲の理解、仕事内容の調整、経済的な面などで不安があります。でも、「少しずつなら変えていけるかもしれない」という前向きな活力がわたしにはあります。育児と仕事の両立を「自分が出来る範囲で」と決めたことで、子どもの小さな成長、家族の何気ない会話。その一つひとつを以前より、深く感じて大切に思えるようになりました。

育児に仕事に、精一杯やり遂げたかったあの時のわたし。
当時はあの生き方が、私の中で「正解」でした。今、働き方を変え、「両立」への思いを更新できています。結局身体を壊すことになり、考える時間が長く必要になりました。でも、あの時の頑張りは無駄ではなかったと思えます。

あの日々があったから、自分の気持ちを深く広く理解できました。
誰とも比べず、過去とも比較せず、今も「自分はどうしたいか」を問い続けています。

最後に伝えたい「自分との対話」の重要性

育児と仕事の両立は、働く親、特に現代の働く母にとって大きなテーマです。周囲と比べて落ち込み、自分の本音に蓋をし、「普通」の生き方に縛られる。以前の私もそうでした。

変わることを恐れず、地道に自分と向き合い続ければ、外からの視線から解放され、母としても仕事人としても、少し肩の力を抜いて生きていけるはずです。周囲の状況や仕事内容によっては難しい場合もあるでしょう。「自分には何もできない」と落ち込む日もあるかもしれません。

けれど、ここまで育児にも仕事にも向き合ってきた時間が、きっと自分自身の支えになっていきます。「これならわたし、大丈夫」「ここでならばやっていける」という場所へ、きっと辿り着けます。

育児と仕事の両立を目指して焦っていた、あの時の私へ。
本当にお疲れさま。感謝を込めて。
今の自分との対話を続けながら、これからも進んでいきます。

この記事を書いた人
しまむら

介護福祉士として働きながら、2児の育児に向き合っている。転職や育児での葛藤を通して、「自分には無理かもしれない」と感じてきたが、朝の時間に自分と向き合い、ジャーナリングやライティングを通して、少しずつ自分を認められるようになった経験をもつ。完璧を目指さず、今の自分にできる一歩を未来へ積み重ねている。「わたしにもできる」と思えるきっかけを、これからも言葉を通して届けていく。

note:しまむら|働き方と暮らしを整えるワーママ介護士

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