「私には無理」と思っていた30代の私が、子育てしながら独学で宅建に合格できた理由

~はじめに~

これは「合格体験記」ではありません。

あなたは「私なんて、どうせ無理」 「今さら何かを始めても遅い」そう思ったことは、ありませんか。

結婚、出産、子育て、仕事との両立。30代・40代の女性は、気づけば自分のことを後回しにして生きています。新しいことに挑戦したい気持ちはあるのに、自信だけがついてこない。私自身、ずっとそうでした。

この記事は、子育て中の30代の私が、独学3か月で宅地建物取引士(宅建)試験に一発合格した記録です。けれど、本当にお伝えしたいのは合格そのものではありません。「どうせ無理」と思っていた私が、小さな行動の積み重ねによって「私にもできる」という自己効力感を取り戻していった過程です。資格の話は、そのための一つの題材にすぎません。

今、何かに自信が持てずにいるあなたに、少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。

自信があるようで、なかった20代の私

私は20代の頃、大手外食チェーンで7年間勤務し、店長としてスタッフ育成や店舗運営を任されていました。周囲からは「しっかりしている」とよく言われていました。

けれど本心では、ずっと不安を抱えていました。

「この自信は、この環境だから保てているだけかもしれない」 「環境が変わったら、私は通用しなくなるんじゃないか」

外から見える自信と、内側にある自己肯定感は、必ずしもイコールではありません。これは、多くの女性が密かに抱えている感覚ではないでしょうか。

出産後、自分の可能性に蓋をしていたと気づいた日

結婚、出産を経て職場に復帰すると、生活は一変しました。仕事、保育園の送迎、家事、寝かしつけ。毎日をこなすだけで精一杯で、自分のことを考える余裕はほとんどありませんでした。それでも心のどこかで、「このままでいいのだろうか」「何か新しいことに挑戦したい」という思いはくすぶっていました。

同時に、こんな言い訳も並べていました。

子育て中だから。 時間がないから。 もう若くないから。

今振り返ると、これらは挑戦をできない本当の理由ではなく、自分で自分の可能性に蓋をするための言葉だったのだと思います。

転機になったのは、住宅購入の経験でした。契約や資金計画について自分があまりに無知だったことに、強い悔しさを感じたのです。「家族の暮らしと資産を、自分の知識で守れる人になりたい」。そう思ったことが「資格を取りたい」と考える原点となりました。

「今さら勉強なんて」という不安との向き合い方

「でも、何の資格がいいんだろう」

まず、目的を整理しました。

  • 不動産や法律の知識を体系的に学べること
  • 収入アップにつながる可能性があること
  • 学歴や実務経験に関係なく挑戦できること

この3つが揃っていたのが「宅地建物取引士」でした。

とはいえ、勉強なんて大学受験以来、10年以上していません。「続けられるだろうか」「受けても落ちるんじゃないか」。始める前から、不安ばかりが頭の中をぐるぐる回っていました。これから何かに挑戦しようとしている方は、きっとこの感覚に覚えがあるはずです。不安は、挑戦をやめる理由ではなく、挑戦する人なら誰でも通る入り口なのだと、今なら思います。

子育てと独学を両立させた、現実的な工夫

不思議なことに、勉強を始めてみると、それはだんだん楽しくなっていきました。

学生時代の勉強は「試験のため」でしたが、大人になってからの勉強は違いました。知らないことを知る面白さ、学んだことが仕事や暮らしに直結していく感覚。子どもとお風呂で試験の覚え歌を口ずさむ時間さえ、楽しいひとときに変わっていきました。

もちろん、現実は甘くありません。当時2歳だった子どもを育てながらの独学です。勉強時間の確保が一番の壁でした。実際にやっていた工夫は、こんなことです。

  • 子どもを寝かしつけた後、机に向かう
  • 家族より早く起きて、朝に勉強時間を確保する
  • 食器洗いの時間を減らすため、あえて紙皿を使う日をつくる
  • 先輩ママのYouTubeで見た時短ライフハックは、片っ端から試す
  • 休日は夫と交代制で育児を分担し、実家の母にも協力を頼む

特別な才能や、特別な環境があったわけではありません。「無理なくできる小さな工夫」を積み重ねただけです。今振り返ると、この資格取得は私一人の力ではなく、家族の支えがあって初めて実現できたことだったと思います。

余裕を失った私に、夫がかけた忘れられない一言

試験勉強中、精神的に追い込まれる時期もありました。模試の結果に落ち込み、思うように進まない焦りで、すっかり余裕を失っていたある日。

そんな私を見て、夫が真顔でこう言いました。

「もしかして、離婚の準備のために資格を取ろうとしてるの?」

家族のために始めた勉強だったのに、そう見えてしまうほど、当時の私には余裕がなかったのです。今では笑い話ですが、それくらい必死だったということでもあります。それでも、勉強をやめる選択肢はありませんでした。

合格よりも価値があった「私にもできた」という感覚

そして結果は、独学3か月で宅建士試験に一発合格。

合格通知を見た瞬間、もちろん嬉しかった。けれど、本当に心を震わせたのは「合格した」という事実そのものではありませんでした。

「私にもできた」という感覚。

これこそが、私の人生を変えたものでした。

  • 子育て中でも、できた
  • 時間がなくても、工夫すればできた
  • 自分で決めたことを、最後までやり切れた

この一つひとつの経験が、自己効力感を少しずつ、確実に育ててくれたのです。

当時、試験のために口ずさんでいた覚え歌を、息子は今でもときどき歌ってくれます。子どもの記憶力には驚かされるばかりです。

私自身、幼い頃の母の姿を今でも覚えています。語学や料理の本を読み、子育ての合間にも学び続けていた母の背中を、当時は意識もせずにしっかり見ていたのだと、今になって気づきます。だからこそ、息子の記憶にも「挑戦する母親の姿」が少しでも残ってくれたら嬉しい。そう思っています。

止まらなかった成長:FP2級の取得と未経験からの転職

宅建合格後、私はさらに2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)にも挑戦しました。

以前の私なら、「もう十分頑張った」とそこで満足していたと思います。けれど、宅建への挑戦で育てた自己効力感が「次もやってみよう」という気持ちを自然に生み出してくれたのです。

不動産とお金の知識は相性がよく、学びを深めるほど仕事の幅が広がりました。何より、自分自身の人生設計や家計管理にも役立つようになりました。資格を活かす仕事の機会も増え、今では副収入にもつながっています。

そして私は、さらにもう一歩を踏み出しました。空いた時間を使って、就職活動を始めたのです。以前の私なら、「子育て中だから難しい」「未経験だから無理」と決めつけていたはずです。けれど、この頃にはこう思えるようになっていました。

「まずやってみよう。だめなら、その時また考えよう」

その結果、ご縁があり、大手不動産会社で営業事務として働く機会をいただきました。新しい環境への不安はありましたが、以前ほど怖くはありませんでした。「私は学べる」「私は乗り越えられる」という経験を、すでに積んでいたからです。

自己効力感とは「不安がなくなること」ではない

自己効力感とは、「自分ならできる」と信じる力のことです。

ただし、それは決して「自信満々で不安がない状態」を意味するわけではありません。私も今でも不安になりますし、失敗して落ち込むこともあります。

以前と違うのは、こう思えるようになったことです。

「きっと何とかなる。またやり直せばいい」

自己効力感とは、不安が消えることではなく、不安を抱えたままでも前に進める力なのだと、今は理解しています。

今日から始められる「自己効力感の育て方」

もし今、こんな気持ちを抱えているなら——

  • 何かに挑戦したいけれど、自信がない
  • 資格を取りたいけれど、続けられるか不安
  • 転職したいけれど、勇気が出ない

まずは「なりたい自分」を思い描いてみてください。そこから逆算して、今日できる小さな一歩を決めましょう。

  • 1日10分だけ勉強する
  • 気になる本を1ページだけ読む
  • 求人情報を1件だけ見てみる

それだけで十分です。大切なのは、「自分との約束を守る」という小さな経験を積み重ねること。その積み重ねこそが、「私にもできる」という感覚を育てていきます。

自己効力感は、一日で身につくものではありません。けれど、誰でも、何歳からでも、確実に育てることができます。

同じように頑張るあなたへ

私は出産後、自分の可能性が狭くなったように感じていました。「子育てをしているから」「時間がないから」「年齢を重ねたから」。そんな理由を並べて、自分で自分の限界を作っていたのです。

でも、実際は違いました。

母親になっても、30代になっても、環境が変わっても、人は何歳からでも挑戦できます。そして、自分を信じる力は、後からでも育てることができます。

もし今、「私なんて」と思っているなら。 未来のあなたは、まだ見ぬ可能性をたくさん持っています。

最初から大きな一歩である必要はありません。その小さな一歩の積み重ねが、半年後、一年後のあなたを大きく変えているかもしれません。明日が保証されなくても、今日できることをやる。ただ、それだけのことです。 そして、その「それだけ」が、一番難しい。

私自身が、そうだったように。

それでも、一歩ずつでいい。 遠回りでもいい。 完璧じゃなくていい。 結果が伴わなくてもいい。その泥臭さこそが、美しいのだから。

この記事を書いた人
n.pino

幼い子どもを育てる母。大手外食チェーンで7年間勤務し、店長としてスタッフ育成や店舗運営に携わる。出産後は仕事と育児を両立しながら「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」を取得。現在は大手不動産会社で営業事務として勤務する傍ら、資格を活かした執筆活動にも取り組む。 「泥臭いって、美しい。」をモットーに、自身の経験を通して、30代・40代女性の学び直しやキャリア形成、自己成長につながる情報を発信している。

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