今回お話を伺ったのは、管理栄養士として活動する作田茉夏さん。
「食・美容・生き方を通じて女性の人生を豊かにする」という理念のもと、食事指導だけにとどまらない、人生そのものに寄り添うサポートをされています。
今回は、その原点と「自分らしく豊かに生きる」ための考え方を伺います。

■今回お話を伺った方:作田茉夏さん
管理栄養士
家族の死をきっかけに、食と対話を通して人を幸せにしたいと管理栄養士に。「食・美容・生き方で人生を豊かに」をテーマに、インナーケアのサポートや「食卓を囲うごはん会」を主宰する。
「自分の人生を生きられる人」を増やしたい
——まずは、現在どのような活動をされているか教えていただけますか?
管理栄養士として、主にインナーケアのサポートをしています。具体的には、食事指導や、体に溜まったものを排出し整えていくための方法をお伝えすること、そして「これからどう生きていきたいか」という部分を一緒に考えるサポートをしています。
最終的に目指しているのは、自分の人生を自分の意思で生きられる人を増やすことなんです。
ただ栄養の知識をお伝えするだけでは、実はあまり意味がないと感じていて。その人自身が、自分の身体や心の状態に気づいて、「自分で」選び取れるようになることを大切にしています。「自立」もテーマのひとつなんです。
きっかけは糖尿病だった祖母との食卓

——管理栄養士を目指されたきっかけは何だったのでしょうか。
高校生の頃、糖尿病を患っていた祖母がいたんです。実家で家族みんなと食卓を囲んで、たくさん会話をしながら過ごす時間があったんですが、そのなかで祖母がどんどん元気になっていく姿を見て。
——食事療法とは違う形で、元気になっていったということですか?
そうなんです。もちろん病院での治療やお薬が必要な場面もあると思うんですけど、それだけじゃなくて、美味しいご飯と、温かい時間を誰かと共有すること、それこそに人を元気にする力があるんだと実感したんです。
それで、食に関わる仕事がしたいと思うようになりました。
——食事そのものだけでなく、時間の共有にも意味があったんですね。
そのとおりです。祖母はその後、また一人暮らしに戻ったんですが、しばらくして亡くなってしまって。食卓を囲んでいたときの元気な姿を知っているだけに、食べることと命がどれだけ密接につながっているかを、あらためて強く意識するようになりました。
仕事を優先しすぎると、大切なものを見失う
——お祖母様を亡くされた経験は、ご自身の人生観にも影響を与えましたか?
すごく影響を受けました。人って、つい仕事や目標の達成を優先してしまって、家族や大切な人と過ごす時間を後回しにしがちだと思うんです。私自身もそういうところがあって。
でも、どれだけ仕事を頑張っていても、資格を取ったりスキルがあがっても、大切なものを見失ってしまうと人生の豊かさが損なわれてしまう。だからこそ今は、家族や大切な人との時間をきちんと持つことを、意識的に大切にしたいと思っています。
——食事は、そうした「人とのつながり」をつくるためのツールでもあるということですね。
まさにそうです。今はAIが発達して、どんどん便利になって、なんでも効率化できる時代ですよね。だからこそ、人と人とのつながりが、人間にとっての力や活力の源になると思うんです。
「ご飯を食べよう」というたった一言から、自然に会話が生まれて、関係が深まっていく。食事には、そういうシンプルだけど大きな価値があると感じています。
知識だけでは、人は「本質的に」変われない
——管理栄養士としてお仕事をされる中で、「知識だけでは足りない」と感じた経験はありますか?
たくさんあります。管理栄養士として学ぶ栄養学は、実は本当に一部なんですね。基本的には、病気への対処を中心とした食事療法が多くて。どんなに美味しくて栄養の整ったごはんでも、病院で、一人で、さみしい気持ちで食べても、幸せかと言われるとそうじゃないですよね。
自分が大切にしたい「食卓を囲んで、人とつながる」という価値観とは、少し違うものだと感じることがありました。
——ダイエット支援などでも、そうした違いを実感された場面があったそうですね。
はい。ダイエットサポートでは、同じ食事指導をしても、成果が出る人と出ない人がいて。最初は「なぜだろう」と思っていたんですが、その人が育った家庭環境や、今抱えているストレス、食に対する価値観といった、もっと根本的・本質的な部分を理解しないと、本当の意味での行動の変化にはつながらないんだと気づいたんです。
——食べ過ぎてしまうことを、自分の意志の弱さだと責めてしまう方も多そうですね。
本当にそうなんです。食べるものや食事の偏りは、思考や感情にも影響しますし、甘いものを欲してしまう・食べ過ぎてしまうといった食行動も、本人の意思だけの問題ではありません。仕事や家庭環境のストレスなど、背景にある要因を紐解いていくことが重要なんです。
その人が人生をより良くしていくために、自分を責めるのではなく、まずは「行動の理由」を知ってほしいなと思います。
日常で心がけていることは「1日1回はお米を食べる」

——ご自身が日々の食生活で、意識されていることはありますか?
最低でも1日1回はお米を食べるようにしています。ダイエット中はお米を避ける方も多いと思うんですが、日本人の食文化や体質を考えると、完全に抜いてしまうのはもったいないと思っていて。私自身、お米を食べないと考えの軸がぶれやすいと感じています。
体型を維持したいという方にも、ゼロにするのではなく量や頻度を調整する形をおすすめしています。
——食事以外の暮らしの中で、大切にされていることはありますか?
土地のものに触れることを大切にしています。旅行先ではその土地の調味料を買ってみたり、有名な場所を訪れてみたり。特に、自分の地元や生まれ育った土地の食材からは、自分自身の力を引き出してもらえるような感覚があるんです。
青森と長野で描く、これからの構想
——今後、どんな活動をしていきたいと考えていらっしゃいますか?
父方の祖母の出身地に青森があって、畑もある土地なんです。そこで、東京で疲れてしまった人が「おばあちゃんの家」に帰るような感覚で休息できて、食卓や畑に触れられる機会をつくりたいと思っています。
——なんだか、心がほっとするような構想ですね。
そうなっていたら嬉しいです。それと、私が生まれた長野も、糖尿病だった母方の祖母にゆかりのある土地なんです。まだ具体的な形は決まっていないんですが、長野の食文化や自然に触れることで、みなさんが本来大切にしていた価値観を思い出せるような活動も、いつか実現できたらと思っています。
自分らしく生きることは「自分の身体を労わる」ことから始まる
——最後に、自分らしく心豊かに生きたいと願う女性たちへ、メッセージをお願いします。
「自分らしく生きる」というと、最初に仕事や資格!スキルを増やす!みたいな部分へ意識が向きやすいと思うんです。私もその気持ちはすごくわかります。(笑)
でもその前に、まずは自分の身体を労わってあげてほしいんです。自分の心と身体が、今どんな状態にあるのかを見直すこと。腸内環境や思考が乱れた状態では、せっかく新しい知識や技術を得ても、活かしきれないことが多いんです。
でも、健康で元気な状態が基盤になっていれば、良い仕事や人脈、縁にもつながりやすくなると思うんです。
人生を変えたいと感じたときこそ、「まず体を整える」という選択肢をぜひ持っていてほしいですね。

